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閉店と居抜き

テナントの保証金が返ってくる額と
敷金との違い・閉店時の精算

最終更新:2026年9月25日

テナントの保証金が返ってくる額と 敷金との違い・閉店時の精算閉店と居抜きテナントの保証金は返ってくる?敷金との違いと閉店時に差し引かれる費用

テナントの保証金は、店を明け渡したあと、未払いの賃料や原状回復の費用、契約で決めた償却分を差し引いた残りが返ってきます。民法622条の2は、名目が保証金でも、賃料などの支払いを担保するために預けたお金を敷金として扱い、残額を返すよう定めています(2026年9月25日にe-Gov法令検索で確認)。

飲食店の閉店では、厨房機器を残したまま退去すると、その撤去費が保証金から差し引かれて戻る額が減ります。この記事では、返ってくる額の決まり方、敷金との違い、償却と返還の時期、閉店時に差し引かれる費用、消費税の扱いまでを、条文と国税庁の資料で整理します。

目次
  1. テナントの保証金が返ってくる額の決まり方
  2. テナントの保証金と敷金の違い
  3. テナントの保証金の償却は契約で決まる
  4. テナントの保証金が返ってくる時期
  5. 保証金から差し引かれる閉店時の費用
  6. 保証金の戻りを増やす厨房機器の片付け方
  7. テナントの保証金と消費税
  8. テナントの保証金が返ってこないとき
  9. テナントの保証金に関するよくある質問

テナントの保証金が返ってくる額の決まり方

テナントの保証金が返ってくる額は、預けた保証金から償却分と、未払いの賃料や原状回復費などの借主の債務を差し引いた残りです。何をいくら差し引くかは、契約書と退去時の精算書で決まります。

民法622条の2第1項は、貸主が敷金を受け取っている場合、賃貸借が終了して物件の返還を受けたときは、敷金の額から借主の金銭の債務の額を差し引いた残額を返さなければならないと定めています(2026年9月25日にe-Gov法令検索で確認)。

テナントの保証金が返ってくる額の決まり方
精算の項目中身金額が決まる書類
預けた保証金契約のときに貸主へ預けた額賃貸借契約書・預り証
償却分返さないと契約で決めた割合や金額契約書の保証金(敷金)の条項
未払いの賃料・共益費契約が終わる日までに払っていない分。解約予告の期間の賃料も含む契約書の賃料・解約の条項
原状回復費借主が負担する範囲の工事費契約書の原状回復の条項・工事の見積書
設備・機器の撤去費借主が持ち込んで残していった設備や機器を片付けた費用退去時の精算書
返ってくる額上の項目を差し引いた残り退去時の精算書

計算の流れを、仮の数字で示します。保証金300万円、解約時の償却20%、借主負担の原状回復費150万円、未払いの賃料0円なら、300万円から償却60万円と原状回復費150万円を引いた90万円が返ってくる額です。原状回復費が保証金を上回れば、返ってくる額はなく、足りない分を別に請求されます。

同じ条文の第2項により、貸主は借主が払わない賃料などに保証金を充てることができます。反対に、借主の側から「保証金を最後の家賃に充ててほしい」と求めることはできません。閉店する月の賃料も、いったんは通常どおり払う前提で資金を組んでください。

参照:e-Gov法令検索「民法」第622条の2(2026年9月25日確認)

テナントの保証金と敷金の違い

テナントの保証金と敷金の違いは、主に契約書での呼び方です。賃料などの支払いを担保する目的で預けるお金であれば、民法ではどちらも敷金として扱われ、返し方のルールも同じになります。

テナントの保証金とは、店舗や事務所を借りるときに、賃料の支払いや退去時の原状回復費などを担保するために、借主が貸主へ預けるお金です。民法622条の2は敷金を「いかなる名目によるかを問わず」、賃料の債務などを担保する目的で借主が貸主に渡す金銭と定義しています。契約書に「保証金」と書かれていても、この目的で預けたお金なら敷金のルールが当てはまります。

テナントの保証金と敷金の違い
契約書での名目民法での扱い退去時の扱い
保証金(賃料などを担保する目的のもの)敷金にあたる(名目は問わない)明け渡しのあと、債務を差し引いた残りが返る
敷金敷金同上
保証金の償却分(敷引き)返さないと契約で決めた部分返らない

保証金の中に、担保とは別の目的で預けたお金が含まれている契約もあります。名目だけで判断せず、契約書で「何のために預けたお金か」「どの条件で返すか」の条項を読んでください。判断に迷うときは、契約書を持って弁護士などの専門家に相談します。

敷金の説明でよく引用される国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定したものです。店舗の原状回復や保証金の精算は、住宅向けの説明をそのまま当てはめず、自分の契約書の条項で確認します。

参照:e-Gov法令検索「民法」第622条の2/国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について(いずれも2026年9月25日確認)

テナントの保証金の償却は契約で決まる

テナントの保証金の償却とは、預けた保証金のうち、契約で決めた割合や金額を返さないとする取り決めです。民法に一律の割合はなく、何をどれだけ、いつ差し引くかは契約書の条項で決まります。

国税庁の消費税法基本通達5-4-3も、保証金や敷金のうち「賃貸借期間の経過その他」の一定の事由で返還しないこととなるものがあることを前提に、その扱いを定めています。償却の条項は契約ごとに違うため、閉店を考えた時点で契約書を開き、次の点を先に確かめてください。

テナントの保証金の償却は契約で決まる
契約書で確かめる点書かれている条項閉店時に効く理由
償却の割合・金額保証金(敷金)の条項返ってくる額が直接減る
償却のタイミング保証金(敷金)の条項解約のときに差し引くのか、経過した年数ごとに差し引くのかで、閉店の時期による差が出る
解約予告の期間解約の条項予告から契約が終わるまでの賃料が債務として残る
中途解約の取り決め契約期間・解約の条項期間の途中でやめるときの違約金などの定めがあれば、保証金から差し引かれることがある
原状回復の範囲原状回復の条項工事費の負担が決まる
残した物の扱い明け渡しの条項置いていった設備・機器の撤去費の負担が決まる

償却の割合が大きい契約では、原状回復費を抑えても戻る額はあまり増えません。反対に償却がない契約では、原状回復費と撤去費がそのまま戻る額を左右します。自分の契約でどちらの影響が大きいかを先に計算しておくと、閉店の準備で力を入れる場所が決まります。

参照:国税庁「消費税法基本通達 第4節 資産の貸付け」5-4-3(2026年9月25日確認)

テナントの保証金が返ってくる時期

テナントの保証金が返ってくるのは、賃貸借が終わり、借主が物件を明け渡したあとです。民法では明け渡しが先で返還が後になるため、原状回復と精算が済むまで保証金は戻りません。

民法622条の2第1項第1号は、返還の条件を「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」としています。契約書に返還の時期(明け渡しから何か月以内など)が書かれていれば、その条項も確認します。

テナントの保証金が返ってくる時期
段階保証金の状態根拠・見る書類
解約の申し入れ〜契約の終了まだ返らない。予告期間の賃料は払い続ける契約書の解約の条項
明け渡し(鍵の返却・原状回復の完了)返還の条件がそろう民法622条の2第1項第1号
精算書の確認差し引く債務の額が決まる退去時の精算書・原状回復の見積書
返還残額が戻る契約書の返還時期の条項

居抜きで店を次の借主に引き継ぐ場合は、流れが変わります。賃借権を譲るには貸主の承諾が必要で(民法612条)、借主が適法に賃借権を譲り渡したときも、保証金の残額を返す場面として民法622条の2第1項第2号に定められています。譲渡の契約で保証金の扱いを別に決めることもあるため、貸主と次の借主との間で書面にしておきます。居抜きの進め方は居抜き売却の進め方と造作譲渡の仕組みで解説しています。

参照:e-Gov法令検索「民法」第612条・第622条の2(2026年9月25日確認)

保証金から差し引かれる閉店時の費用

閉店時に保証金から差し引かれるのは、主に未払いの賃料・共益費、借主が負担する原状回復費、店に残した設備や機器の撤去費です。契約に定めがあれば、償却分や中途解約の違約金も差し引かれます。

保証金から差し引かれる閉店時の費用
差し引かれる費用差し引かれる理由抑えるためにできること
未払いの賃料・共益費賃貸借にもとづく借主の債務(民法622条の2)閉店日が決まったら解約予告を早めに出し、閉店後に賃料だけを払う期間を短くする
原状回復費借主の原状回復の義務(民法621条)と契約の原状回復の条項工事の範囲を契約書で確かめ、見積書の内訳を項目ごとに確認する
設備・機器の撤去費借主が物件に附属させた物を片付ける義務(民法599条1項を622条で賃貸借に準用)原状回復工事の前に買取や引き取りで搬出する
償却分契約の償却の条項契約で決まっているため、金額を先に計算しておく
中途解約の違約金契約に定めがある場合契約書で有無と金額を確かめる

民法621条は、通常の使用で生じた損耗や経年変化を原状回復の対象から外しています。ただ、店舗の契約書には原状回復の範囲を具体的に定めた条項が置かれていることがあり、スケルトンの状態に戻すよう求める契約もあります。原状回復の範囲は契約書と貸主の指定で決まるため、工事の見積もりを取る前に条項を読んでください。範囲と費用の決まり方は店舗の原状回復費用の決まり方、閉店にかかる費用の全体は飲食店の閉店費用にまとめています。

民法599条1項は、借りた物に附属させた物を、契約が終わったときに収去する義務を定めています。ただし、分離できない物や、分離に過分の費用がかかる物は対象外です。飲食店では、コールドテーブルや製氷機、ガステーブルのように取り外して運び出せる厨房機器は、借主が片付ける前提で考えておきます。

参照:e-Gov法令検索「民法」第599条・第621条・第622条・第622条の2(2026年9月25日確認)

保証金の戻りを増やす厨房機器の片付け方

厨房機器は、原状回復工事の前に買取や引き取りで運び出しておくと、撤去費を保証金から差し引かれずに済みます。値がつけば売った分が収入になるため、退去日から逆算して査定と搬出を先に進めます。

保証金の戻りを増やす厨房機器の片付け方
時期やること保証金への影響
閉店を決めたら契約書で解約予告の期間・償却・原状回復の範囲を確認。機器のリストを作って買取査定を頼む予告期間の賃料と償却分の見通しが立つ
最終営業日までリースの機器を確認し、搬出日を決める。冷機は霜取り、製氷機は水抜きリースの機器は売れないため、返却の段取りを別に組む
営業終了後〜原状回復の着工前買取・引き取りで搬出。値がつかない機器の処分を手配設備・機器の撤去費が差し引かれるのを防ぐ
明け渡し鍵を返し、貸主の立ち会いで物件の状態を確認返還の条件がそろう
退去後精算書で差し引きの内訳を確認返ってくる額が決まる

機器を残したまま原状回復工事に入ると、機器の撤去も工事の範囲として見積もられ、精算で保証金から差し引かれることがあります。買取業者に先に査定を頼めば、値がつく機器は収入に、値がつかない機器も引き取りの費用が見えるようになり、工事の見積もりと比べて判断できます。

次の借主が決まっていて、貸主の了解を得て設備を残したまま引き継ぐなら、居抜きで造作を譲る方法もあります。機器ごとに値がつく条件は厨房機器の買取相場の決まり方、リースで入れた機器の扱いは厨房機器のリースと購入の比較、値がつかない機器は厨房機器の処分方法で確認できます。閉店にともなう売却の段取りは飲食店の閉店買取で、閉店案件に対応する業者の対応品目と出張エリアは厨房機器買取の比較表で比べられます。

テナントの保証金と消費税

退去時に返ってくる保証金は消費税の対象外で、返さないと決めた償却分は消費税の課税対象です。保証金から差し引かれる原状回復工事の費用も、国税庁は課税の対象になると示しています。

テナントの保証金と消費税
項目消費税の扱い国税庁の資料
返ってくる保証金対象外(契約の終了などにともなって返すものは、資産の譲渡等の対価に該当しない)消費税法基本通達5-4-3
償却分(返還しない部分)課税(権利の設定の対価であり、資産の譲渡等の対価に該当する)消費税法基本通達5-4-3
保証金から差し引く原状回復工事の費用課税(賃借人に代わって賃貸人が工事をするのは、賃借人への役務の提供にあたる)質疑応答事例「建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用」

質疑応答事例の照会はマンションの賃貸の例ですが、回答は「建物の賃借人には、退去に際して原状に回復する義務がある」ことを理由にしています。精算書を受け取ったら、償却分と原状回復費に消費税がどう書かれているかを確かめ、帳簿での扱いは顧問の税理士に確認してください。

参照:国税庁「消費税法基本通達 第4節 資産の貸付け」5-4-3/国税庁「建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用」(いずれも2026年9月25日確認)

テナントの保証金が返ってこないとき

テナントの保証金が返ってこないときは、明け渡しが済んでいるか、精算書で差し引きの内訳が示されているかをまず確かめます。建物の持ち主が変わっていても、原則として新しい持ち主が返す義務を引き継ぎます。

テナントの保証金が返ってこないとき
状況確かめること根拠
返還の連絡がない明け渡しが完了しているか。契約書に返還時期の定めがあるか民法622条の2第1項・契約書
差し引かれた額が多い精算書の内訳、原状回復の範囲と見積書、償却の条項民法621条・622条の2・契約書
建物の持ち主が変わった建物の引き渡しを受けて営業していたなら、原則として新しい持ち主が返還の義務を引き継ぐ民法605条の2第1項・第4項、借地借家法31条
請求を先延ばしにしている権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年で時効により消える民法166条1項

民法605条の2は、借主が対抗要件を備えた不動産が譲渡されたとき、貸主の地位が譲受人に移り、敷金を返す義務も譲受人が引き継ぐと定めています(旧所有者に貸主の地位を残す合意をした場合など、同条2項の例外があります)。建物の賃貸借は、登記がなくても建物の引き渡しがあれば対抗力を持ちます(借地借家法31条)。

内訳に納得できないときは、精算書と契約書、入居時と退去時の写真をそろえて貸主と話し合います。まとまらない場合は、契約書を持って弁護士などの専門家に相談してください。退去前に機器を片付け、写真で状態を残しておくことが、精算で揉めないためのいちばんの備えです。

参照:e-Gov法令検索「民法」第166条・第605条の2/e-Gov法令検索「借地借家法」第31条(いずれも2026年9月25日確認)

テナントの保証金に関するよくある質問

テナントの保証金はいつ返ってきますか?

民法622条の2では、賃貸借が終わり、借主が物件を明け渡したあとに返還されます。原状回復と精算が済むまでは戻りません。契約書に明け渡しから何か月以内などの返還時期が書かれていれば、その条項も確認してください。

保証金を最後の月の家賃に充ててもらえますか?

借主の側から保証金を家賃の支払いに充てるよう求めることはできません(民法622条の2第2項)。貸主は、借主が払わない賃料などに保証金を充てることができます。閉店する月の賃料も、通常どおり払う前提で資金を組んでください。

保証金と敷金は何が違いますか?

主な違いは契約書での呼び方です。民法622条の2は、名目を問わず、賃料などの支払いを担保する目的で預けるお金を敷金と定めています。保証金がこの目的で預けたお金なら、敷金と同じルールで返されます。

保証金の償却分に消費税はかかりますか?

かかります。国税庁の消費税法基本通達5-4-3は、保証金のうち返還しないこととなる部分を資産の譲渡等の対価とし、契約の終了などにともなって返すものは対価に該当しないとしています。

厨房機器を置いたまま退去するとどうなりますか?

民法599条1項(622条で賃貸借に準用)により、借主は物件に附属させた物を契約の終了時に収去する義務を負います。置いていった機器の撤去費は、精算で保証金から差し引かれることがあります。原状回復工事の前に買取や引き取りで搬出してください。

この記事を書いた人

執筆・編集:厨房機器買取ナビ 編集部

飲食店の閉店・入れ替えで業務用の厨房機器を売るときの買取業者を、対応エリア・買取方法・得意な品目で比較しています。掲載している業者の情報は各社の公表情報、フロン排出抑制法など制度の内容は省庁の公表資料をもとに、確認した日付とあわせて記載しています。

最終更新:2026年9月4日