「厨房機器の買取相場はいくらですか」という質問に、金額の一覧で答えられる業者はほとんどありません。中古の厨房機器は、同じ品名でも年式・メーカー・動作状態・そのときの在庫状況で査定額が変わるためです。
ただし、相場が「わからない」のと「決まり方がわからない」のは別の話です。査定額の決まり方は品目ごとにはっきりしており、それを知っていれば、提示された金額が妥当かどうかを判断する材料は自分で揃えられます。
この記事では、査定額を決める3つの要素、品目別の傾向、複数社の写真査定で実質的な相場を自分で作る手順、そして査定額が下がる典型パターンを整理します。
査定額を決める3つの要素
厨房機器の査定は、原則として次の3つで決まります。
| 要素 | 内容 | 自分で確認する方法 |
|---|---|---|
| 年式 | 製造からおおむね7〜10年以内が買取の目安。新しいほど有利 | 本体の銘板シールに製造年月の記載がある |
| メーカー | 中古市場で流通量の多い国内メーカー(ホシザキ・マルゼン・タニコー・フクシマガリレイなど)は買い手がつきやすい | 銘板シールのメーカー名・型式番号 |
| 動作・状態 | 正常動作が大前提。冷機は冷え、熱機は着火と温度、洗浄機は水漏れの有無 | 通電した状態で査定を受けられるようにしておく |
ここで会計の話と混同しやすいのが耐用年数です。国税庁の耐用年数表では業務用の冷蔵庫は6年、飲食店業用設備は8年とされていますが、これは減価償却の基準であって、買取市場の基準ではありません。帳簿上の価値がゼロでも市場で動く機器には値がつき、逆に帳簿に残っていても流通しない機器には値がつきません。
もう一点、購入価格も査定にはほぼ影響しません。査定額は「その機器が中古販売でいくらで売れるか」から逆算されているためです。高額で購入した特注品ほど買い手が限られ、値がつきにくくなることさえあります。
品目別に見る査定の傾向
| 品目 | 傾向 | 査定で見られるポイント |
|---|---|---|
| 業務用冷蔵庫・冷凍庫 | 流通量が多く、査定が機械的に決まりやすい定番品目 | 年式・冷え・パッキン・庫内のにおい |
| 製氷機 | 回転が速く、メーカー指名の需要がある | 製氷能力(kg/日)・水垢の状態 |
| コールドテーブル(台下冷蔵庫) | サイズが規格化されており需要が安定 | 天板の傷・扉のパッキン |
| ガス機器(レンジ・フライヤー) | 都市ガス/LPガスの種別で買い手が分かれる | ガス種・五徳や槽の状態・着火 |
| 食器洗浄機 | 設置型は取り外しの条件込みで判断される | 給排水の切り離しを誰がやるか |
| スチコン・ベーカリー機器 | 単価が高く、専門業者ほど正しく評価できる | 使用時間・メンテナンス歴 |
| シンク・作業台 | ステンレスの状態次第。単体より一括で評価される | 歪み・サビ・サイズ |
| 業務用エアコン | 取り外し工事とフロン回収が前提の特殊品目 | 対応体制の有無(解説ページ) |
共通しているのは、「そのままもう一度店で使えるか」で見られているということです。再販先は次に開業・入れ替えをする飲食店であり、買い手が「これなら買う」と思う状態かどうかが査定額に直結します。
実質的な相場は写真査定で自分で作れる
公開された相場表がない以上、自分の機器の実勢は複数社の査定を並べることでしか確定しません。幸い、厨房機器は型番文化の世界なので、この作業は写真だけでかなり進みます。
- 銘板シールの写真を撮る——メーカー・型式・製造年が1枚に収まっており、査定に必要な情報のほぼすべてです
- 全体と庫内・槽内の写真を撮る——状態の判断材料になります。汚れは拭いてから撮るほうが正当に評価されます
- 2〜3社にメール・LINEで送って概算を取る——訪問なしで比較の土台ができます
- 条件の良い業者に訪問査定を依頼する——訪問時に概算から大きく下がる場合は、その理由を必ず確認してください
1社の言い値は相場ではありません。2〜3社の提示が並んだとき、その真ん中があなたの機器の実勢です。掲載社のうち買取価格や査定実績を公開している業者は比較表に記載しているので、依頼前の目安として使えます。
査定額が下がる典型パターン
同じ機器でも、進め方によって結果は変わります。実務でよく起きる下がり方は次の4つです。
| パターン | なぜ下がるか | 避け方 |
|---|---|---|
| 汚れたまま査定を受ける | 状態の確認ができず、低い前提で見積もられる | 前日に霜取りと届く範囲の清掃をしておく |
| 搬出条件を伝えていない | 当日に想定外の作業が発生し、その分が差し引かれる | 階数・エレベーター・階段幅・搬出時間の制限を先に伝える |
| 退去日が迫っている | 売り手に選択肢がなくなり、比較の余地が消える | 閉店日の2〜4週間前に査定を始める |
| 1台ずつバラバラに売る | 出張のコストが1台に集中する | まとめて1回の査定に出す |
このうち影響が大きいのは3つ目の「時間」です。相見積もりが取れるかどうかは日程の余裕で決まり、比較できなければ提示額をそのまま受けるしかありません。相場を調べる時間があるなら、その時間を1社目への連絡に使うほうが結果は良くなります。
付属品と書類で差がつく
最後に、手元にあると査定に反映されやすいものを挙げます。どれも「あれば加点」で、なくても売れないわけではありません。
- 取扱説明書——次の使い手が操作を確認できるため、再販時の付加価値になります
- 棚板・仕切り・鍵などの純正付属品——欠品は再販時の値引き要因になるため、査定にも響きます
- メンテナンスの記録——定期点検や部品交換の履歴があれば、状態の裏づけになります。とくにスチコンなど高額機器で効きます
- 購入時の書類——製造年や仕様の確認が速くなります
逆に、用意しても意味がないのは購入時の金額がわかる書類です。前述のとおり査定は再販価格から逆算されるため、いくらで買ったかは判断材料になりません。
機器ごとの詳しい条件は業務用冷蔵庫・製氷機・業務用エアコンの各ページにまとめています。
厨房機器の買取相場に関するよくある質問
査定は無料でできますか?
掲載している業者は出張査定・見積もりを無料としています。ただし、査定後に売らなかった場合の出張費・キャンセル料の扱いは業者ごとに異なるため、「成立しなかったときに費用がかからないか」を依頼時に確認してください。
購入時の金額は査定に関係ありますか?
ほぼ関係ありません。査定は購入価格ではなく、中古市場での再販価格から逆算されます。高額で購入した機器でも、年式が古く流通のない型であれば値はつきにくくなります。
相場が知りたいだけでも査定を頼んでいいですか?
写真査定であれば業者側の負担も小さく、概算を取ること自体は一般的な使い方です。ただし売る意思がまったくない段階での訪問査定は双方の時間を使うため、写真査定にとどめるのが実務的です。
他社の見積もりを見せて交渉してもいいですか?
一般的な進め方です。ただし機器の状態や搬出条件が同じ前提で比べていないと、話がかみ合いません。見積もりを見せる場合は、金額だけでなく「どこまで含まれているか」(搬出・値がつかない機器の引き取り・切り離し工事)も合わせて確認してください。
査定額はいつまで有効ですか?
業者と時期によります。中古市場の在庫状況で変動するため、提示から日が空くと変わることがあります。閉店の日程が決まっているなら、その日付を伝えたうえで有効期限を確認してください。
この記事を書いた人
執筆・編集:厨房機器買取ナビ 編集部
飲食店の閉店・入れ替えで業務用の厨房機器を売るときの買取業者を、対応エリア・買取方法・得意な品目で比較しています。掲載している業者の情報は各社の公表情報、フロン排出抑制法など制度の内容は省庁の公表資料をもとに、確認した日付とあわせて記載しています。
最終更新:2026年9月4日
