厨房機器の耐用年数は「8年」と説明されることが多い一方、実際には資産の区分で変わります。国税庁の耐用年数表では、機械及び装置の「飲食店業用設備」が8年、器具及び備品の「電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器」は6年です。
金額によっては耐用年数を使わずに処理できます。取得価額が10万円未満なら全額をその年の経費にでき、10万円以上20万円未満は一括償却資産として3年で均等に落とせます。
この記事では、区分ごとの年数の引き方、中古で買った機器の計算方法、経費にできる金額の線引き、そして耐用年数と買取価格が別物である理由を整理します。
目次
厨房機器の耐用年数は区分で変わる
耐用年数とは、減価償却の計算に使うために法令で定められた年数です。機器の寿命を表すものではありません。同じ厨房にある機器でも、どの資産区分に当てはめるかで年数が変わります。
| 資産の区分 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 機械及び装置 | 飲食店業用設備 | 8年 |
| 機械及び装置 | 飲食料品小売業用設備 | 9年 |
| 器具及び備品 | 電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器 | 6年 |
| 建物附属設備 | 給排水・衛生設備、ガス設備 | 15年 |
| 建物附属設備 | 電気設備(照明設備を含む。その他のもの) | 15年 |
解説記事が「厨房機器は8年」と書くのは、機械及び装置の飲食店業用設備を指しています。個々の機器を器具及び備品として計上している場合、年数は8年ではありません。手元の固定資産台帳でどの区分にしているかを先に確認してください。
建物に組み込まれた給排水設備・ガス配管・電気設備は建物附属設備として扱われ、15年と長くなります。厨房の工事費をまとめて計上している場合、この部分が混ざっていることがあります。
参照:国税庁「耐用年数表」(2026年9月7日確認)。個別の区分の判断は顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。
耐用年数は品目ごとに国税庁の表で引く
器具及び備品として計上する場合は、機器ごとに細目を引きます。国税庁の表には個別の名称が挙がっているものと、挙がっていないものがあります。挙がっているものは迷う余地がありません。
| 機器 | 耐用年数表の細目 | 年数 |
|---|---|---|
| 業務用冷蔵庫・冷凍庫 | 電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器 | 6年 |
| 冷蔵・冷凍ショーケース | 陳列だな、陳列ケース(冷凍機付き又は冷蔵機付きのもの) | 6年 |
| 冷凍機の付かない陳列だな | 陳列だな、陳列ケース(その他のもの) | 8年 |
| 電気式でない冷蔵ストッカー・氷冷蔵庫 | 氷冷蔵庫、冷蔵ストッカー(電気式のものを除く) | 4年 |
| 業務用エアコン(据置・可搬の機器として計上) | 冷房用・暖房用機器 | 6年 |
| 皿・グラスなどの食器 | 食事又はちゅう房用品(陶磁器製・ガラス製のもの) | 2年 |
| 金属製の鍋・バット・ちゅう房用品 | 食事又はちゅう房用品(その他のもの) | 5年 |
表に名前が出てこない機器の扱い
フライヤー・ガスレンジ・食器洗浄機・製氷機は、耐用年数表に個別の名称が載っていません。機械及び装置の「飲食店業用設備」として一括で捉えるか、器具及び備品の細目に当てはめるかで年数が変わります。
ここは自己判断で決めない部分です。開業時に一式で導入した設備なのか、途中で1台だけ買い足した備品なのかによって考え方が違います。税理士に確認するか、所轄の税務署に区分を相談してください。当サイトは税務の個別判断には踏み込みません。
相談するときは、機器の名称だけでなく取得日・取得価額・設置の形(据置か建物に組み込まれているか)・固定資産台帳での現在の区分を持っていくと、その場で判断がつきます。名称の一致だけで年数を決めないのが要点です。
中古の厨房機器は耐用年数が短くなる
中古で買った機器は、法定耐用年数をそのまま使う必要がありません。国税庁は簡便法という計算方法を示しており、経過した年数のぶんだけ短い年数で償却できます。中古購入が資金繰りで有利になる理由の一つです。
| 状態 | 計算方法 |
|---|---|
| 法定耐用年数の全部を経過した資産 | 法定耐用年数の20パーセントに相当する年数 |
| 一部を経過した資産 | (法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数の20パーセント |
| 端数の扱い | 1年未満の端数は切り捨て。2年に満たない場合は2年 |
実際に当てはめると次のようになります。計算自体は電卓1つでできます。
| 法定耐用年数 | 経過年数 | 計算 | 使う年数 |
|---|---|---|---|
| 8年 | 3年 | (8−3)+3×0.2=5.6 | 5年 |
| 8年 | 5年 | (8−5)+5×0.2=4.0 | 4年 |
| 8年 | 全部経過 | 8×0.2=1.6 | 2年 |
| 6年 | 3年 | (6−3)+3×0.2=3.6 | 3年 |
| 6年 | 全部経過 | 6×0.2=1.2 | 2年 |
使えない場合もあります。その中古資産を事業に使うために支出した資本的支出が、取得価額の50パーセントを超える場合は簡便法を使えません。大がかりな改造や整備を前提に安く仕入れたときは、この線に当たっていないかを確認してください。
中古機器の年式は本体の銘板シールで確認できます。買うときも売るときも、この1枚が判断材料になります。値の付き方は買取相場の決まり方にまとめています。
参照:国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」(2026年9月7日確認。国税庁の記載は令和7年4月1日現在法令等)
耐用年数を使わずに経費にできる金額
金額が小さい機器は、耐用年数で分割せずに処理できます。線引きは3段階あり、どれを使うかで初年度の経費が大きく変わります。厨房の備品はこの範囲に収まるものが少なくありません。
| 取得価額 | 処理 | 条件 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 全額をその年の必要経費にできる | 使用可能期間が1年未満のものも同じ扱い |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産として3年間で均等に経費にできる | 一括した取得価額の合計額の3分の1ずつ |
| 40万円未満 | 中小企業者等の少額減価償却資産の特例で全額を損金算入できる | 青色申告、常時使用する従業員400人以下(出資金等が1億円超の組合等は300人以下)、年間合計300万円まで |
この特例は令和8年度税制改正で拡充されました。対象となる取得価額が40万円未満(改正前は30万円未満)に引き上げられ、適用期限は令和10年度末(令和11年3月31日)までです。対象は常時使用する従業員が400人以下の中小企業者等で、年間合計300万円までという限度は変わりません(中小企業庁「少額減価償却資産の特例」・2026年9月12日確認)。国税庁のタックスアンサーNo.5408は令和7年4月1日現在の法令等にもとづく記載のため、金額の基準が改正前の30万円未満のままになっています。
厨房で10万円未満に収まりやすいのは、鍋・バット・ボウルなどの調理器具、皿やグラス、小型の家電です。逆に冷蔵庫・製氷機・フライヤーのような機器は超えることが多く、耐用年数での償却になります。
参照:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」/国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」/中小企業庁「少額減価償却資産の特例」(中小企業庁は2026年9月12日確認)
耐用年数と実際に使える年数は別物
法定耐用年数は税務上の計算期間であって、機器が壊れるまでの期間ではありません。8年を過ぎた冷蔵庫が動かなくなるわけではなく、3年で壊れる個体もあります。混同すると入れ替えの判断を誤ります。
| 見るもの | 法定耐用年数 | 実際の使用 |
|---|---|---|
| 決め方 | 法令で一律に定められている | 使用頻度・清掃・設置環境で変わる |
| 目的 | 減価償却費の計算 | 営業を止めないための保守判断 |
| 過ぎたとき | 帳簿上の価値が備忘価額まで下がる | 使い続けても問題ない。部品供給の終了が実質的な期限 |
| 判断材料 | 取得日と区分 | 異音・冷えの低下・修理の頻度 |
実務で効くのは部品供給が終わる時期です。メーカーが補修部品の保有期間を終えると、故障したときに直せません。営業を止められない機器ほど、この時期を先に把握しておく価値があります。
耐用年数が残っていても売れる機器がある
帳簿上の価値と買取価格は連動しません。償却が終わって帳簿価額がほとんど残っていない機器でも、中古市場で動く型なら値が付きます。逆に帳簿に価値が残っていても、流通しない型には値が付きません。
| 判断の軸 | 税務(耐用年数) | 買取市場 |
|---|---|---|
| 基準 | 取得日からの経過年数 | 製造年・メーカー・動作状態 |
| 年式の見方 | 帳簿の取得日 | 本体の銘板に記載された製造年月 |
| 値が付く目安 | — | おおむね製造7年以内。10年前後は業者・型による |
| 状態の影響 | 影響しない | 大きく影響する。動作品かどうかで扱いが変わる |
「まだ償却が終わっていないから売れるはず」「償却済みだから価値はない」——どちらの判断も外れます。売れるかどうかは製造年と動作で決まり、そこは自分で確認できます。銘板の写真を撮って複数社に送れば、訪問前に概算が並びます。
品目別の傾向は買取相場の決まり方、冷蔵庫の条件は業務用冷蔵庫の買取ページ、業者ごとの対応は比較表で確認できます。
耐用年数から買い替え時期を組み立てる
入れ替えの時期は、税務の年数だけでも機器の状態だけでも決まりません。両方を並べたうえで、売却して回収できる金額を差し引いた実質負担で考えると判断が早くなります。
| 並べるもの | 見る値 |
|---|---|
| 帳簿の状況 | 償却がいつ終わるか。残っている簿価はいくらか |
| 機器の状態 | 直近1年の修理回数と修理費の合計 |
| 部品の供給 | メーカーの補修部品保有期間が残っているか |
| 売却で戻る額 | 今の年式で買取査定を取った金額 |
| 入替の費用 | 新しい機器の価格と設置工事費、旧機器の撤去費 |
この5つのうち、多くの店が取っていないのが4番目です。売却で戻る額がわからないまま入れ替えを決めると、実質負担を高く見積もったまま先送りすることになります。査定に費用がかからないのが通常なので、検討段階で取っておくと判断材料がそろいます。
修理費が積み上がっている機器ほど、動くうちに売ったほうが手取りは大きくなります。完全に止まってからでは、買取の土俵に乗らず処分費を払う側に回ります。
厨房機器の耐用年数でよくある勘違い
この分野は解説記事どうしで説明が食い違うことが多く、思い込みが定着しやすい部分です。実務でよく見かける勘違いを、根拠と並べて整理します。
| よくある理解 | 実際 |
|---|---|
| 厨房機器の耐用年数は全部8年 | 8年は機械及び装置の「飲食店業用設備」。器具及び備品なら細目ごとに2年〜8年 |
| 耐用年数を過ぎたら使ってはいけない | 税務上の計算期間なので、過ぎても使い続けられる |
| 償却が終わった機器は売れない | 中古市場の基準は製造年と動作。帳簿価額とは無関係 |
| 中古で買っても法定耐用年数で償却する | 簡便法で短い年数を使える(資本的支出が取得価額の50パーセント以下の場合) |
| リース中の機器も自社の減価償却資産 | 所有権はリース会社にある。売却も勝手な処分もできない |
| 40万円未満はいつでも一括で経費にできる | 青色申告・従業員数・年間300万円の上限・適用期限という条件がある |
閉店の場面でとくに問題になるのが最後から2番目です。リース機器を売却リストに入れたまま査定を依頼すると、当日になって搬出できないことが判明します。機器リストを作る段階で購入品とリース品を分けてください。段取り全体は閉店でやることの時系列にまとめています。
耐用年数が過ぎた厨房機器の出口
償却が終わった機器を手放すとき、選べる道は3つあります。費用のかからない順に確かめると、そのまま確認すべき順番になります。順番を逆にすると、売れたはずの機器に処分費を払うことになります。
| 出口 | 費用の向き | 向いている機器 |
|---|---|---|
| ① 売る | 買取額が入る | 製造おおむね7〜10年以内で正常に動く機器 |
| ② 引き取ってもらう | 0円〜引き取り費 | 値は付かないが、まとめ売りの一部として動かせる機器 |
| ③ 廃棄する | 処理費が全額かかる | 故障品・中古市場で流通のない型 |
③を選ぶ場合、冷凍冷蔵機器と業務用エアコンにはフロン排出抑制法にもとづくフロン類の回収が必要です。回収業者に引き渡さずに廃棄すれば罰則の対象になり、回収依頼書・委託確認書の写しと引取証明書は3年間の保存義務があります。手続きは業務用冷蔵庫の処分と厨房機器の処分方法にまとめました。
閉店にともなう入れ替えなら、機器単体ではなく店舗全体の出口から考える必要があります。段取りは閉店時の買取ガイド、届出は廃業手続きの一覧で確認できます。業者ごとの対応品目と出張エリアは比較表に整理しています。
厨房機器の耐用年数のよくある質問
厨房機器の耐用年数は8年で合っていますか?
機械及び装置の「飲食店業用設備」として計上している場合は8年です。器具及び備品として個別に計上している場合は細目ごとに年数が変わり、電気冷蔵庫やこれに類する電気・ガス機器は6年、陶磁器製・ガラス製の食事又はちゅう房用品は2年です。固定資産台帳の区分を確認してください。
中古で買った厨房機器の耐用年数はどう計算しますか?
簡便法では、法定耐用年数の全部を経過した資産は法定耐用年数の20パーセント、一部を経過した資産は「法定耐用年数から経過年数を引いた年数+経過年数の20パーセント」です。1年未満の端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年になります。事業に使うための資本的支出が取得価額の50パーセントを超える場合は簡便法を使えません。
耐用年数が過ぎた機器は買い取ってもらえませんか?
耐用年数と買取の可否は別です。中古市場の基準は製造年・メーカー・動作状態で、償却が終わっていても流通する型なら値が付きます。判断材料は本体の銘板に記載された製造年月と、実際に正常に動くかどうかです。
10万円未満の厨房用品はどう処理しますか?
取得価額が10万円未満のもの、または使用可能期間が1年未満のものは、その全額をその年の必要経費にできます。10万円以上20万円未満は一括償却資産として3年間で均等に経費にする方法があります。
40万円未満なら全額を経費にできますか?
中小企業者等の少額減価償却資産の特例を使える場合に限られます。青色申告書を提出していること、常時使用する従業員数が400人以下(出資金等が1億円超の組合等は300人以下)であること、年間合計300万円までという条件があります。令和8年度税制改正で対象が40万円未満に引き上げられ、適用期限は令和10年度末(令和11年3月31日)までです(中小企業庁・2026年9月12日確認)。
フライヤーや食器洗浄機の耐用年数が表に見当たりません
国税庁の耐用年数表には個別の名称が載っていない機器があります。機械及び装置の「飲食店業用設備」として捉えるか、器具及び備品の細目に当てはめるかで年数が変わるため、区分の判断は顧問税理士または所轄の税務署に確認してください。
この記事を書いた人
執筆・編集:厨房機器買取ナビ 編集部
飲食店の閉店・入れ替えで業務用の厨房機器を売るときの買取業者を、対応エリア・買取方法・得意な品目で比較しています。掲載している業者の情報は各社の公表情報、フロン排出抑制法など制度の内容は省庁の公表資料をもとに、確認した日付とあわせて記載しています。
最終更新:2026年9月4日
